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資産形成
2025.05,20

【早見表付き】所得税の計算方法を徹底解説!誰でも簡単に分かる税金のしくみ

所得税は、年間に得た所得に対する税金です。会社員や個人事業主だけでなく、アルバイトやパートでも一定額以上の所得がある人は納税の義務があります。給与などから源泉徴収で天引きされ、給与の支払者である雇用主を通じて国に納める方法のほかに、確定申告により個人で納付する方法があります。この記事では所得税の計算方法について、所得控除や税額控除の説明をはさみながら解説し、あわせて源泉徴収の際の源泉所得税の算出方法についても解説いたします。

所得税の基本知識:仕組みと特徴を解説

所得税とは、個人が1年間(1月1日から12月31日まで)に得た所得に応じて課される税金のことです。具体的には、給与所得や事業所得、配当所得など、多様な収入に基づいて計算される国税です。所得税の計算では、「課税所得金額」に税率が適用され、そこから税額控除などを差し引いて最終的な税額が決まります。なお、所得税の税率は5%から45%までの7段階に設定されており、所得が多くなるほど税率が高くなる累進課税制度が採用される仕組みです。

 

所得税の課税対象となる所得の種類

所得税の課税対象となる所得は、法律で10種類に分類されています。主な種類には、給与所得(会社員やアルバイトの給与収入)、事業所得(個人事業主などの事業による収入)、不動産所得(不動産の賃貸収入など)、配当所得(株式の配当金や投資信託の分配金)、利子所得(預貯金の利子)などが含まれます。また、懸賞の賞金や生命保険の一時金なども一時所得として課税対象になります。それぞれの所得には、計算方法が異なる場合があるため、注意が必要です。

 

確定申告が必要な人とは?

確定申告が必要な人とは、1年間の所得税を正確に計算し、納税額を申告しなければならない人のことを指します。たとえば、給与所得以外に20万円を超える所得がある人や、年末調整が行われていない場合などが該当します。また、給与所得者であっても、副業でさらに所得を得ている場合は確定申告が必要になるケースがあります。一方、医療費控除やふるさと納税などの寄付金控除を受けたい場合など、納税者の利益となる還付申告も確定申告が必要です。

 

復興特別所得税とは?

復興特別所得税は、東日本大震災の復興支援のために設けられた税金です。平成25年から令和19年までの期間中、2.1%の税率で課されます。たとえば、所得税額が10万円の場合、復興特別所得税はその2.1%にあたる2,100円が追加で課税されます。この税金は、所得税の納付時に併せて徴収されるため、確定申告や年末調整で所得税額とともに計算されます。

所得税額の計算方法:基本公式と具体例を解説

 

所得税額の計算方法は、「課税所得金額 × 所得税率 – 控除額」求めます。この基本公式を使うことで、正確な税額を算出できます。課税所得金額とは、総所得金額から所得控除を差し引いた金額のことで、これをもとに税率が適用されます。また、所得税には7段階の税率が設定されており、所得が多くなるほど税率が上がる「累進課税制度」が採用されています。

 

課税所得金額の求め方:所得と控除の関係

課税所得額は、所得額から各種控除額を差し引いて算出されます。主な所得控除には基礎控除や扶養控除、医療費控除、社会保険料控除などがあります。たとえば、給与所得者の場合は、年収(収入金額)から給与所得控除額をまず引き、給与所得金額を算出します。その後に基礎控除やその他該当する所得控除額を差し引いた額が課税所得金額となります。この計算過程により税負担が軽減され、個々の事情に応じた税負担の軽減が図られています。

 

速算表を使った具体例:課税所得3,000,000円の場合

課税所得が3,000,000円の場合を考えてみましょう。速算表によると、課税所得が1,950,000円以上3,300,000円以下の場合、適用される税率は10%、控除額は97,500円です。このため、所得税額は以下の通りです。

 

3,000,000円 × 10% – 97,500円 = 202,500円

 

このように速算表を使うことで、簡単に所得税額を求めることができます。また、これらの金額は1,000円未満の端数を切り捨てた金額で計算される点に注意しましょう。

 

年金受給者やパート労働者の場合の計算方法

年金受給者やパート労働者の場合も、基本的な所得税の計算方法は同じです。ただし、それぞれの所得の性質に応じて異なる控除が適用されます。たとえば、年金受給者の場合は、「公的年金等控除」が適用され、課税所得が軽減されます。一方、パート労働者の場合でも、給与所得控除やそのほか適用可能な控除により、税負担が調整されます。特に、年収103万円以下のパート労働者は課税対象外となるため、所得税がかからない点も留意が必要です。しかし、収入が増えて103万円を超える場合には所得税の課税対象となるため、控除額を理解しながら計算することが重要です。

所得税の控除:税負担を軽減する仕組み

 

所得税を適切に抑えるにはいくつか方法があります。次のような控除制度や非課税制度を確認して、該当する場合は活用してみましょう。

 

基礎控除・扶養控除などの主な控除項目

所得税には、税負担を軽減するための控除制度が設けられています。そのなかでも、すべての納税者が対象となる「基礎控除」は最も基本的な控除項目です。基礎控除の金額は令和2年以降、最大で48万円となり、納税者の所得に応じて段階的に控除額に変動があります。また、扶養家族がいる場合には「扶養控除」が適用されます。具体的には、16歳以上の扶養親族がいる場合に、1人あたり38万円の控除を受けることができます。これらの控除項目は、所得税の計算方法において課税所得を減らすことになります。

 

医療費控除や寄附金控除について

医療費控除は、1年間で支払った医療費が一定額を超えた場合に利用できる控除です。具体的には、自分や家族のために支払った医療費から保険金や給付金を差し引いた金額が、10万円または総所得金額の5%のいずれか少ない方を超える場合、その超えた分が控除対象となります。一方、寄附金控除は「ふるさと納税」なども該当します。特定の団体や地方自治体に対して寄附を行った場合、支払った金額のうち2,000円を超える部分が控除対象になります。これらの控除を適切に利用することで、大幅に所得税額を減らすことができます。

 

住宅ローン控除の活用方法

住宅購入時に借り入れを行った場合に利用できるのが住宅ローン控除です。この制度では、年末時点での借入残高に基づいて計算された一定割合の金額が所得税額から控除されます。2025年現在、控除率は0.7%とされており、自己の居住用家屋を金融機関からの借入(住宅ローン)により購入して居住する人に対し、10~13年間にわたり毎年、年末時点の借入額の0.7%(上限あり)が所得税(と住民税)から控除されるという制度です。控除の対象となる借り入れ金額や適用条件には上限がありますので、事前に確認が必要です。また、控除額が所得税で引ききれない場合、住民税からも一部控除される仕組みとなっています。

 

控除の適用を受けるための手続き

所得税において控除を受けるためには手続きが必要です。たとえば、給与所得者で扶養控除や住宅ローン控除を受ける場合、年末調整で必要な書類を会社に提出する必要があります。また、医療費控除や寄附金控除を利用する場合は、確定申告を行う必要があります。確定申告の際には、医療費の領収書や寄附金の受領証明書を準備することが求められます。これらの手続きは少し手間がかかることもありますが、正確に行うことで大幅な税負担の軽減が期待できます。

年収ごとの所得・税率・税額一覧表(所得税早見表)

 

自分の年収だと所得税額がどのくらいになるかざっくり知りたい! という方のために、年収ごとの所得・税率・税額を一覧表にしました。年収2,000万円までは100万円ごとに算出しているので、参考になる近い数字を見つけてください。

 

年収(額面) 課税所得額 適用される税率 所得税額
300万円 111万円 5% 6万円
400万円 170万円 5% 9万円
500万円 236万円 10% 14万円
600万円 302万円 10% 20万円
700万円 371万円 20% 31万円
800万円 447万円 20% 47万円
900万円 527万円 20% 63万円
1,000万円 613万円 20% 80万円
1,100万円 699万円 23% 97万円
1,200万円 784万円 23% 117万円
1,300万円 870万円 23% 136万円
1,400万円 955万円 33% 162万円
1,500万円 1,041万円 33% 190万円
1,600万円 1,127万円 33% 218万円
1,700万円 1,212万円 33% 246万円
1,800万円 1,298万円 33% 275万円
1,900万円 1,383万円 33% 303万円
2,000万円 1,469万円 33% 331万円
5,000万円 4,085万円 45% 1,359万円

所得税に関する疑問への解答:よくある質問集

 

最後に所得税に関するよくある質問をまとめました。ご参考までにご覧ください。

 

103万円の壁とは?その影響は?

「103万円の壁」とは、給与所得者が年間で得た所得が103万円を超えるかどうかによって、所得税が課税されるかどうかが決まる基準額のことを指します。給与所得者は、所得控除のひとつである基礎控除(48万円)と給与所得控除(55万円)の合計額103万円まで所得が非課税となります。この基準を超えた場合、課税所得が発生し所得税を支払う義務が生じます。また、103万円を超えると配偶者控除や扶養控除といった家族の税負担を軽減する仕組みにも影響を与えるため、家計全体の税負担が変わる可能性もあります。

 

税率が段階的に変わる仕組みとは

所得税は累進課税制度を採用しており、課税所得額に応じて税率が段階的に上がる仕組みです。具体的には、課税所得1,000円から1,949,000円までは税率5%、1,950,000円から3,299,000円までは10%というように、所得により適用される税率が7段階に分けられています。この制度では、所得が増えることで税負担も増えますが、所得を細かく区切り、それぞれの区分に対して税率を適用するため、計算方法自体は公平性を重視した仕組みとなっています。税率が異なることで、所得が増えた場合に「どの区分に該当するのか」を確認することが重要です。

 

副業所得にはどのような税金がかかるのか?

副業で得た所得も課税の対象となります。給与所得以外の副業所得の場合、「雑所得」として扱われるケースが多いです。所得税の計算方法として、副業での所得から必要経費を差し引いた金額が課税所得となり、確定申告が必要となります。また、副業所得の金額や申告する所得全体によっては、税率が上昇することもあります。会社員の場合、年間の副業所得が20万円を超えると申告が義務付けられます。一方、副業による所得が一定額以下であれば非課税となる可能性がありますので、自身の所得状況を確認して対応することが可能です。

 

納税が遅れた場合のペナルティは?

所得税の納税が遅れた場合、延滞税や加算税といったペナルティが課されます。延滞税は、納期限後から納付日までの日数に応じて計算されます。加算税には、無申告加算税や重加算税があり、これは確定申告を忘れて未納状態が続いた場合や、虚偽の申告があった場合に追加される税金です。これらのペナルティは支払う金額が増えることだけでなく、納税者に対して信用リスクを与える可能性もあるため、期日内に納税することが重要です。特に、所得税の計算や申告に不安がある場合は、税理士や専門家に相談することも検討しましょう。

まとめ

 

税金の負担は年収によって大きく変動します。手取り額として、600万円~700万円が最もお得とされる一方で、年収850万円を超えると所得税率も高くなり、控除額の固定などにより税金の負担が大きく、手取り額が減ったと感じられます。また、年収が4,000万円を超えると手取り額が大幅に減少するため、高所得世帯ほど税金の影響が大きくなります。自分の年収と税負担の関係を理解し、利用できる控除をしっかり活用することが大切です。

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