「不動産投資で節税したい」と調べていくと、「所得控除」という言葉に行き当たることが多いでしょう。ただし、所得控除には基礎控除や社会保険料控除のように個人の事情に応じて差し引かれるものがある一方で、不動産投資では経費や青色申告特別控除のように、不動産所得を計算する過程で差し引かれるものもあります。この2つが同じ「控除」という言葉で語られるため、混同が起きやすいのが実情です。
この記事では、「不動産投資×所得控除」というテーマに沿って、
①所得控除の基本
②不動産投資と関係が深い控除(青色申告特別控除)
③損益通算・減価償却とのつながり
④確定申告の実務
⑤よくある誤解(住宅ローン控除など)
について整理し、理解できるように解説いたします。
この記事を読むとわかること
- ● 所得控除の基本と誤解の防止:所得控除は「課税所得を減らす仕組み」で、控除=全部得/赤字=全額還付ではない
● 混同しやすいポイント整理:所得控除と税額控除(住宅ローン控除)の違い、投資用物件は原則ローン控除対象外
● 不動産投資の節税の本丸:所得控除よりも「不動産所得の計算(経費・減価償却)」と「損益通算」が影響大
● 青色申告特別控除の使い方:10万/55万/65万円の要件、事業的規模や帳簿・電子申告、赤字だと満額活用できない場合がある
目次
所得控除とは?まず最初におさえるべき基礎知識

「所得控除」という言葉を曖昧なまま不動産投資の税金を考えると、「控除=すべてお得」「赤字=全額が戻ってくる」といった誤解に繋がりやすいです。
所得控除とは、簡単に言えば、税金を計算する前に課税される所得(課税所得)を小さくする仕組みです。
一方で、不動産投資では「必要経費」「減価償却」「損益通算」など、所得控除とは異なるレイヤーで税負担が変わる場面も多くあります。
この違いを理解していないと、節税効果を過大に期待してしまうことがあります。
所得控除と税額控除の違い
所得控除:課税所得を減らす(基礎控除、社会保険料控除、生命保険料控除など)
税額控除:計算された税額から直接差し引く(住宅ローン控除=住宅借入金等特別控除)
不動産投資で「住宅ローン控除も使える?」と混同されがちですが、投資目的(賃貸運用)の物件は原則として住宅ローン控除の対象ではありません。
不動産投資の節税は「所得控除」だけでない
不動産投資において税負担が軽く見える主な理由は、所得控除そのものではありません。
実際には、不動産所得の計算方法(家賃収入-必要経費-減価償却など)や、一定の条件を満たした場合に使える損益通算(不動産所得の赤字を他の所得と相殺する仕組み)にあります。
この点を理解しておくことで、「所得控除を増やす」という発想だけに偏ることなく、投資として無理のない、健全な設計を考えやすくなります。
不動産投資で直接関係が深い「青色申告特別控除」とは

青色申告特別控除は、厳密には基礎控除などの所得控除(いわゆる人的控除)とは性格が異なります。
ただし実務上は、所得を圧縮して税負担を軽くする代表的な制度として扱われることが多く、要件を満たせば控除額も大きくなります。
青色申告特別控除(10万/55万/65万円)の概要
青色申告特別控除は、帳簿付け等の要件に応じて控除額が変わります。国税庁の整理では、一定要件で最高55万円、さらに電子帳簿保存またはe-Taxによる電子申告などを満たすと65万円になる旨が示されています。なお、この控除を受けるためには、事前に税務署へ「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
不動産所得で65万円控除になるための条件(事業的規模など)
不動産貸付が「事業として」行われているかどうか(いわゆる事業的規模)が重要で、一般的に「5棟10室」が目安といわれています。しかし形式基準はあくまで目安で、実態で判断される点には注意が必要です。
【よくある誤解】赤字だと青色申告特別控除はどうなるか?
青色申告特別控除については、「控除を適用する前の不動産所得がマイナス(赤字)の場合は使えない」「控除によって赤字を作ることはできない」と説明されることが多くあります。
そのため、戦略として「赤字を作って損益通算すること」だけを狙ってしまうと、青色申告特別控除を最大限に活かせないケースも出てきます。
不動産投資では、どの段階で利益や赤字を出すのかという設計の順序が重要になります。
不動産投資と所得控除の関係(控除を最大化する考え方)

不動産投資そのものが、基礎控除や生命保険料控除といった人的控除を増やしてくれるわけではありません。
ただし、不動産投資をきっかけに確定申告を行う人が増え、その結果として本来使える控除を漏れなく適用できるようになるケースはよく見られます。
つまり、不動産投資における現実的なポイントは、所得控除を新たに増やすことよりも、控除を取りこぼさない申告体制を整えることにあります。
所得控除の代表例
代表的な所得控除として基礎控除、社会保険料控除、生命保険料控除、医療費控除、配偶者控除・扶養控除などがあります。
(住民税の計算でも控除が影響する旨の整理が一般的です)
年末調整で終わる控除・確定申告が必要な控除
会社員の場合、多くの控除は年末調整で反映されますが、医療費控除や寄附金控除などは別途、確定申告が必要となるケースがあります。
不動産所得があると原則として確定申告を行うことになるため、申告の流れの中で、控除をまとめて整えやすくなるのが実務上のメリットです。
不動産投資の確定申告と“控除漏れ”を防ぐチェックリスト
⚫︎ 年末調整に出していない保険料控除の証明書は揃っているか
⚫︎ 医療費控除・寄附金控除など、確定申告で反映する控除はないか
⚫︎ 配偶者・扶養の条件(所得要件)を満たしているか
⚫︎ 青色申告特別控除を狙うなら帳簿要件(複式簿記等)と電子申告の段取りはできているか
所得控除だけでなく「課税所得を下げる」方法とは
所得控除は、あくまで税金計算の一要素にすぎません。
不動産投資の実務では、次のポイントをおさえることが重要になります。
①必要経費を適切に計上する
②減価償却の考え方をおさえる
③条件を満たす場合、損益通算を正しく適用する
この一連の設計が、税負担に大きく影響します。
ただし、「赤字であれば何でも得になる」というわけではありません。損益通算が認められない赤字の類型もあるため、ルールを踏まえた上での設計が必要になります。
不動産所得の計算(必要経費に入るもの)
管理費、修繕費、火災保険料、借り入れ金の利子(一定の範囲)、仲介手数料、税理士報酬などは不動産所得の計算で論点になりやすい項目です。大切なのは「領収書があるか」だけでなく、事業(賃貸運営)との関連を説明できるかという実務目線です。
減価償却が税負担に効く理由
減価償却とは、建物や設備の取得価額を法定耐用年数に応じて配分し、費用として計上していく考え方です。
不動産所得を圧縮しやすい代表的な要素であり、実際のキャッシュアウトを伴わない費用になり得る点が、特に注目されがちです。
損益通算で税負担をおさえる(ただし例外あり)
不動産所得の赤字は、一定の条件を満たせば他の所得と損益通算できます。
ただし例外もあり、土地取得に係る借り入れ金の利子に相当する部分の赤字は、損益通算できません。
この点を理解していないと、「還付を見込んでいたのに、想定より少なかった」といったズレが生じやすくなります。
また、国外中古建物については損益通算の扱いに特例があるため、海外物件を検討・保有する場合は、必ず最新の制度を確認することが重要です。
関連記事)
住宅ローン控除(税額控除)と不動産投資の線引き

所得控除とセットで考えられるのが、住宅ローン控除(住宅ローン減税)です。
投資用物件(賃貸運用前提)では、住宅ローン控除を使うのは原則できません。ここを誤ると、資金計画や税金の見込みが崩れてしまいますので注意が必要です。
投資用マンションは住宅ローン控除の対象外が原則
住宅ローン控除は、自己居住用住宅の取得を支援する制度です。
そのため、賃貸運用を前提とした投資用マンションは対象外とされています。
賃貸併用住宅などは条件次第で検討余地ある
賃貸併用住宅など、自宅部分を含むケースでは論点が一気に増えます。
適用の可否は居住実態や各種要件に左右されるため、ネット上の情報だけで判断するのは危険です。購入前の段階で、税務に詳しい専門家へ相談することが最もよいでしょう。
【ケース別】不動産投資×所得控除で効果が出やすい方の特徴
最後に、「自分はどう考えればよいか」を整理します。
不動産投資では、「所得控除」という言葉に引っ張られるよりも、次のポイントを順に確認することが現実的です。
①青色申告特別控除を狙える規模・運用か
②不動産所得が黒字か赤字か
③損益通算の例外に当たらないか
④住民税まで含めた手残りでプラスか
上記の4つを順にチェックするのが現実的です。
特に会社員の場合、確定申告を通じて控除の取りこぼし防止と不動産所得の整理を同時に行いやすい点は、大きなメリットといえるでしょう。
会社員(給与所得あり)×青色申告×損益通算の組み合わせ
会社員は税率が比較的わかりやすいため、損益通算や各種控除の効果が数字として見えやすいという特徴があります。
ただし、「還付が出る=得」と短絡的に判断するのは注意が必要です。
返済・修繕・空室といったキャッシュフローまで含めて評価することが、投資としては不可欠になります。
課税所得が一定以下なら青色申告特別控除が効きやすい
青色申告特別控除は非常に強力な制度ですが、前提として帳簿作成などの運用コストがかかります。
そのため、規模が小さい段階では無理に最大化を狙うよりも、まずは正確な申告と収支管理の型を整えることが重要です。
基盤ができたうえで、段階的に控除の最大化を目指す方が、結果として安定した運用につながります。
控除は「正しく使う」ほど効く!阪神間・芦屋の価値と、高翔の支援体制

「不動産投資 × 所得控除」というテーマで本当に大切なのは、所得控除を増やすことそのものではなく、控除・経費・申告を正しく組み合わせ、税引き後の手残りを最大化することにあります。
その中核となるのが、青色申告特別控除(条件により10万円/55万円/65万円)です。ただし、これを活かすには帳簿付けや電子申告など、一定の運用体制が前提となります。
また、不動産所得の赤字を損益通算する場合でも、土地取得に係る利子相当分などの例外があるため、「還付ありき」で投資計画を組むのは危険です。
さらに、税務設計と同じくらい長期的な成否を左右するのがエリアの力です。
阪神間、なかでも芦屋エリアは、歴史や文化、景観への意識、成熟した街づくりによって「住む価値」が支えられており、その評価が資産性にも反映されやすい地域のひとつといえます。
節税だけを目的に数字で判断するのではなく、
「どんな街で、どんな需要に支えられ、どんな出口を描けるか」まで含めて考えること。
それが結果として、税だけに依らない安定した手残りにつながります。
高翔では、こうした阪神間・芦屋の地域特性(歴史・文化・街の文脈)を踏まえつつ、不動産投資を税務・資金計画・運用まで一体で整理できるようご支援いたします。
また、社内に不動産・資産形成に関わる有資格者が在籍し、必要に応じて税務の専門家とも連携しながら、青色申告特別控除の要件整理や損益通算の注意点、出口まで含めたシミュレーションを「実行できる形」に落とし込みます。控除を知識で済ませず、再現性のある運用に変える、その伴走役として阪神間・芦屋での資産形成を検討する際は、ぜひ一度ご相談ください。