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資産形成
2026.02,22

貸付用不動産の「5年ルール」とは? 対象・具体例・注意点を図解

令和8年度税制改正大綱では、相続税の「財産評価の適正化」として、貸付用不動産の評価方法が見直される見込みです。(大綱時点)
いわゆる「5年ルール」とは、相続(または贈与)の直前に貸付用不動産を取得・新築したことによる、評価の“乖離”を利用する動きへの対応策と言えます。
結論として、課税時期前5年以内に有償で取得・新築した一定の貸付用不動産について、通常の取引価額(≒時価)に相当する金額で評価する方向が示されています。

本記事では、対象・起算点・具体例・注意点を整理し、判断の手順まで解説いたします。
今回の改正部分をあらかじめチェックしておけば、2027年の制度開始後も慌てることなく対応出来るでしょう。

この記事を読むとわかること

  • ⚫︎ 5年ルールでは、どんな貸付用不動産が対象になり得るのか

    ⚫︎ 取得や新築のうち、どこまでが対象範囲に入るのか

    ⚫︎ 5年の数え方と、起算点をどう考えるべきか

    ⚫︎ 建物だけ、土地だけといった誤解を防ぐための注意点

    ⚫︎ よくある質問と、判断に使えるチェックポイント

貸付用不動産の「5年ルール」で何が変わる?

 

5年ルールを一言でいうと、「亡くなる5年以内に取得・新築した貸付用不動産は、評価額を購入価格に近づける方向にする」というものです。

対象はすべての不動産ではなく、一定の貸付用不動産で、かつ課税時期前5年以内に対価を伴う取引で取得または新築したものが想定されています。

評価は「課税時期における通常の取引価額に相当する金額」で、条件を満たす場合は「取得価額をもとに地価変動等を考慮して算定した価額の80%」で評価できる、という注記も示されています。

適用時期は、原則として2027年1月1日以後の相続・贈与からとされています。

 

「5年ルール」の対象になるのはどんなケース?

 

< あなたの不動産は5年ルールの対象になり得る? >

[スタート]

   ↓

その不動産は「貸付用(賃貸)」として保有・運用している?

   ├─ いいえ → 原則:本記事の5年ルールの対象外(※個別判断)

   └─ はい

        ↓

課税時期(相続開始日/贈与日)からさかのぼって5年以内に…

「有償で取得」または「新築」した?

   ├─ いいえ → 原則:従来の評価枠組みが中心(※通達で整理)

   └─ はい

        ↓

【対象になり得る】

評価は「通常の取引価額(≒時価)相当」へ寄る方向

   ↓

ただし:

・条件を満たす場合、取得価額等を基に算定した価額の80%評価の考え方も示されている

・最終要件・起算点の細部は法令・通達で整理されるため要確認

 

「取得」・「新築」の範囲は、つまずきやすいところです。大綱上の表現は、対価を伴う取引により取得または新築という整理で、典型的な例として、「投資用(賃貸用)として物件を購入した」「賃貸目的で建物を新築した」ことなどが挙げられます。

ここで大切なのは、「相続税対策として購入したかどうか」ではなく、事実として課税時期前5年以内に購入したかどうかがまず見られる点です。

さらに、実務では「建築中」をどう扱うか、土地と建物の取得が別日にずれているケースをどう見るかなど、判断材料が複数になります(契約形態・引渡し・使用開始など)。

最終的には通達で整理されるため、先回りして“自己判断で断定”しないのが安全です。

「5年」はいつから数える? 起算点の考え方は?

<5年はいつから数える?>

 

           ←── 5年 ──→

[取得・新築の節目]——————[課税時期]

(契約/決済/引渡/完成 など)          (相続開始日/贈与日)

 

ポイント

・課税時期から「5年以内」に入るかで判定する考え方

・どの“節目”を取得日/新築日と扱うかは取引形態で変わり得る

 

「5年」の数え方は、ルール理解の要となります。

ポイントは、基準が「いつ購入した(建築した)か」ではなく、課税時期(相続開始時/贈与時)からさかのぼって5年以内かという考え方になる点です。

ただし、現場で悩むのは「取得日」を何で判定するかです。

売買なら契約日・決済日・引渡日がズレることもありますし、新築なら請負契約日・上棟・完成・引渡・賃貸開始など複数の節目があります。

大綱は制度の方向性なので、起算点の詳細については、通達で明確にされるまで不透明である可能性が高いです。そのため、実務では「相続(贈与)の見込み時期」と「取引の節目(決済・引渡・完成)」を時系列で並べ、5年ラインにかかるかを先に整理することが、迷いにくく進められる方法と言えるでしょう。

「建物だけ? 土地だけ?」よくある誤解は?

 

5年ルールは情報が先行しやすく、誤解も起きやすいテーマです。

代表的な点として、「建物だけが対象? 土地は関係ない?」という誤解ですが、大綱の整理は「貸付用不動産の評価」として示されており、土地・建物の区分や、従来の評価通達(たとえば貸家建付地など)との関係も含めて、最終的にどう優先関係を組むかがポイントになります。

また「贈与は対象外?」という誤解も多いですが、適用時期の説明は相続だけでなく贈与も含む整理で語られることが多く、注意が必要です。

加えて、「2026年中なら必ず従来評価でOK」と安易に考えてしまいがちですが、改正の最終内容や個別事情で結論は変わり得ます。行動を決める前にまずは対象かどうかの棚卸しを優先することをおすすめいたします。

「貸付用不動産 5年ルール」について、よくある質問

 

ここでは、相談時に実際によく出る疑問を10個に絞って整理いたします。

(いずれも大綱ベースの一般論です)

 

  1. Q:5年ルールでは、何が変わる?
    A:課税時期前5年以内に取得・新築した一定の貸付用不動産は、通常の取引価額(≒時価)に相当する金額で評価する方向です。

  2. Q:いつから適用される?
    A:原則として2027年1月1日以後の相続・贈与からとされています。

  3. Q:自己居住用マンションも対象になるか?
    A:「貸付用不動産」が前提なので、自己居住用は、原則として今回の見直しの対象とは考え方が異なります。(個別判断)。

  4. Q:賃貸併用住宅はどうなるのか?
    A:貸付部分の有無・割合、用途の実態で論点になりやすいので、早めに専門家への確認がおすすめです。

  5. Q:土地だけ先に持っていて、建物を新築した場合はどうなるのか?
    A:大綱には一定の経過措置(例外)の考え方が示されています。最終の通達で要件確認が必要となります。

  6. Q:建築中は対象になるか?
    A:大綱の文言上は「新築」に含まれる整理が示されているため、起算点も含めて要確認です。

  7. Q:評価が“丸ごと時価”になるのか?
    A:原則は時価相当ですが、課税上の弊害がない限り「取得価額ベース×80%」評価ができる仕組みも示されています。

  8. Q:その「80%」は誰でも使えるのか?
    A:「課税上の弊害がない限り」という条件付きとなっています。適用可否の判断はケースバイケースです。

  9. Q:贈与で先に渡せば回避できるのか?
    A:適用時期・個別事情・実態次第で単純ではありません。実行前に必ず確認することをおすすめいたします。

10.Q:結局、まず何をすればいいのか?
           A:対象候補の棚卸し(取得日・用途・収益性)→5年ラインの確認→相続人の方針整理、の順が安心です。

まとめ

5年ルールは、「評価テクニック」の話に見えますが、実際は時間軸(5年)と用途(貸付用)で対象が切り分けられ、評価が時価寄りになる方向性が示されている点が本質となります。

芦屋・阪神間で相続不動産を抱えている場合は、税務判断(税理士等)と並行して、「売却する/貸す/持つ」を現実的に選べる状態に整えるのが重要になります。

 

高翔では、芦屋・阪神間の相続不動産について、売却査定・活用提案・収益不動産の整理など状況に応じた選択肢の整理についてご相談いただけます。

相続を見据えた不動産の売却・活用・整理を検討する際は、税の論点と並行して、地域相場・需要・物件特性から現実的な選択肢を組み立てることが大切です。ぜひお気軽にご相談ください。