令和8年度(2026年度)税制改正大綱において、相続税対策に大きな激震をもたらす「財産評価の適正化」が打ち出されました。
いわゆる「5年ルール」とは、相続や贈与の直前に賃貸マンション等を取得・新築することによる過度な節税(時価と路線価評価の乖離)への対応策です。課税時期前5年以内に有償で取得・新築した一定の貸付用不動産について、原則として通常の取引価額(時価)に相当する金額(取得価額を基にした80%評価等)へ引き上げられる方向性が示されました。
この記事では、貸付用不動産の5年ルールの基本概要をはじめ、1億円物件での改正前後の評価額シミュレーション比較表、起算点の数え方、長年保有している土地の経過措置、不動産小口化商品への影響を詳しく解説します。阪神間(芦屋・西宮・神戸)で創業38年・1,000棟以上の実績を持つ高翔が分かりやすくご紹介いたします。
この記事を読むとわかること
- ・貸付用不動産(賃貸用・貸付)の定義と相続税上の位置づけ
・貸付用不動産の「5年ルール」で何が変わるのか?
・【徹底比較表】1億円の物件で見る「改正前後の相続税評価額シミュレーション」
・「5年」はいつから数える?起算点の考え方とチェック手順
・建物だけ?土地だけ?贈与は?よくある誤解と2027年適用のタイムライン
・長年保有している土地・遊休地に使える「経過措置の3要件」
・不動産小口化商品への影響と、今から取るべき資産防衛策
目次
貸付用不動産とは?相続税上の位置づけと「5年ルール」
「貸付用不動産(賃貸用不動産・貸付不動産)」とは、第三者に賃貸して家賃収入を得る目的で保有するマンション、アパート、テナントビル、貸宅地などを指します。自己居住用のマイホームや、自社の事業に使う不動産とは税法上の評価体系が明確に区別されています。
従来の相続税対策において、貸付用不動産は最もポピュラーかつ強力な手法でした。土地は「貸家建付地」、建物は「貸家」として評価され、時価よりも大幅に低い路線価ベース(時価の4〜6割程度)で評価できたためです。
しかし、近年この「市場での実勢価格」と「税務上の評価額」の極端なギャップを利用した駆け込み節税が問題視されてきました。令和5年の「タワマン節税規制」に続き、賃貸不動産全体を対象に導入されるのが、今回の貸付用不動産の「5年ルール」です。
5年ルールを一言で言えば、「亡くなる前5年以内に取得・新築した賃貸用不動産は、従来の路線価ではなく購入価格に近い金額(原則80%等)で厳格に評価する」という制度です。
適用時期は、原則として2027年(令和9年)1月1日以後の相続・贈与からとされています。
「5年ルール」の対象になるのはどんなケース?
└─ はい → 次の判定へ ↓
└─ はい → 5年ルールの対象へ ↓
大切なのは、「相続対策のために買ったかどうか(意図)」ではなく、「亡くなる前5年以内に取得したかどうか(事実)」で機械的に判定される点です。
改正前後の評価額シミュレーション(1億円の物件で比較)
5年ルールの適用によって、具体的にどれだけ相続税負担が増えるのかを試算しました。
【シミュレーション前提条件】
- 取得物件:1億円で購入した賃貸マンション(1棟または区分所有)
- 相続発生:購入から3年後(5年ルールの対象)
- 適用相続税率:30%および40%と仮定
| 比較項目 | 改正前(現行:路線価ベース) | 改正後(5年ルール適用) | 影響(差額) |
|---|---|---|---|
| 物件購入額(時価) | 1億円 | 1億円 | – |
| 相続税評価額 | 約 4,500万円(時価の45%想定) | 約 8,000万円(取得価額×80%) | +3,500万円 |
| 相続税額(税率30%時) | 約 1,350万円 | 約 2,400万円 | +1,050万円 |
| 相続税額(税率40%時) | 約 1,800万円 | 約 3,200万円 | +1,400万円 |
※上記は令和8年度税制改正大綱の骨子に基づく概算比較です。実際の税額は敷地条件、建物の構造、借入残高、相続人の構成により変動します。具体的な試算は顧問税理士等の専門家へご相談ください。
同じ1億円の収益物件であっても、取得後5年以内に相続が起きた場合、相続税評価額が3,500万円上がり、支払う税金が1,000万円以上高くなる可能性があります。
「5年」はいつから数える?起算点の考え方とチェック手順
<5年はいつから数える?>
「5年」の数え方は、この制度を正しく理解する最大の要となります。
判定基準は「いつ購入したか」ではなく、「課税時期(相続開始日または贈与日)から過去にさかのぼって5年以内かどうか」です。
起算点(スタート日)は、一般的に売買契約日ではなく「所有権移転の登記日・代金決済を終えて引渡しを受けた日」となります。新築建物の場合は「完成・引渡しを受けた日(検査済証取得等)」で判定されます。
芦屋・阪神間で賃貸用不動産をお持ちの方の確認手順
芦屋市、西宮市、神戸市等で収益マンションやアパートを複数保有されているオーナー様は、次の2ステップですぐに現状を整理してください。
- 保有物件の「引渡日(取得日)」の一覧化:直近5年以内に購入・新築した賃貸物件がないか、売買契約書や登記簿謄本で確認します。
- 5年経過ラインと相続対策スケジュールの照合:オーナー様のご年齢や健康状態を考慮し、取得から5年を満了する時期がいつになるかを年表上で照らし合わせます。
「建物だけ?土地だけ?贈与は?」よくある誤解と適用時期
5年ルールは情報が先行しているため、以下のような誤解に十分注意してください。
誤解1:「対象は建物だけで、土地は関係ない?」
土地も建物もともに対象となります。
賃貸マンションの1棟買い、区分マンション(敷地権含む)、土地を新たに買ってアパートを建てた場合など、土地部分も含めて時価評価(80%評価等)への引き上げ対象となります。
誤解2:「生前贈与で先に渡せば逃れられる?」
生前贈与も厳格に対象となります。
税制改正大綱では「相続、遺贈または贈与」と明記されており、駆け込みで子供や孫に贈与した場合でも、取得から5年以内であれば同様に時価寄りの高い評価が適用されます。
誤解3:「2026年中に買えばずっと安全?」
制度の適用時期は「2027年(令和9年)1月1日以後の相続・贈与」です。
たとえ2026年中に購入した物件であっても、相続が2027年以降に発生し、かつ取得後5年以内であれば新ルールが適用されます。「今年中に買えば安心」という安易な駆け込み購入は非常に危険です。
見落としがちな経過措置(長期保有土地の例外)
今回の税制改正で、長年土地を保有してきた地主様・オーナー様にとって極めて重要なのが「経過措置(例外規定)」です。
大綱では、以下の3つの要件をすべて満たす場合、新築後5年以内に相続が起きても5年ルールの対象外(従来どおり路線価による有利な評価)とする救済措置が示されています。
経過措置が適用される3つの要件
- 通達公表日までに着手・所有していること
- 被相続人が「5年以上前から所有している土地」であること
- その土地の上に賃貸用建物を新築した(または建築中である)こと
先代から引き継いだ土地・遊休地を持つ方への実務的メリット
「先代から引き継いだ芦屋市内の土地に賃貸住宅を建てたい」「西宮で長年持っている更地に収益物件を建てて相続対策をしたい」という場合、土地自体を5年以上前から保有していれば、建物新築後すぐに相続が発生しても、土地部分は従来の路線価評価(貸家建付地減額)が維持される見込みです。
※注意:国税庁通達の公表日以降に着工した場合は経過措置の対象外となるリスクがあります。遊休地活用を検討されているオーナー様は、早めに建築計画の検討を進めることをおすすめします。
「貸付用不動産 5年ルール」についてよくある質問(FAQ)
一次情報・公的参考資料
本記事で解説した税制改正方針は、以下の公的機関の大綱資料等に基づいています。確定的な通達発表や最新情報につきましては、必ず公式サイトをご確認ください。
※本記事は大綱公表時点の情報に基づき執筆しております。通達の施行令確定に伴い内容が更新される場合があります。
まとめ:節税目的から「本質的な資産価値」への転換を
貸付用不動産の「5年ルール」の導入により、これまで通用していた「相続直前に慌てて収益物件を買って節税する」という手法は終焉を迎えます。
【5年ルールの要点3点】
- 取得後5年以内の賃貸用不動産は、原則「取得価額の80%」等で時価評価される
- 適用は2027年1月1日以降の相続・贈与から。生前贈与も厳格に対象となる
- 5年以上保有している土地上の新築には経過措置が用意されている
今後は、目先の節税効果だけを目的にするのではなく、「賃貸需要が高く、将来にわたって安定した収益と資産価値を保てる不動産」を選ぶことが極めて重要です。
芦屋・西宮・神戸の収益不動産・不動産再生なら「高翔Style+」へ
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- 保有している遊休地・老朽物件が「経過措置」に該当するかの確認・診断
- 5年ルール導入を見据えた収益不動産ポートフォリオの見直し・組み替え
- 阪神間の高稼働エリアに特化したデザイン収益住宅・賃貸マンションの建築相談
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